☆ハイローハート
あこが何かを言いかけたのはわかったけれど、アタシは少し先に昨日の上級生三人組の後ろ姿を見つけて目を細めた


「みさきちゃん、一緒に行こうよ」


スタスタ歩くアタシ達を男が追いかけてくる

……ちょうどいいかも


アタシは足を止めて男の襟をつかんで引き寄せると、前を歩く女三人組を指差して「見て」と促した


「なになに?」

ノー天気な男の声


「あの中に、あんたの彼女いるわけ??」

「え、どれどれ??

ああ~、右端の子?

告られて、何回か遊んだただの友達」



くそっあの女、自分が相手にされへんやっかみか……!


丁寧にセットされた今風の髪型と、人当たりのいい笑顔の男は襟をつかんでいるアタシの手をやんわりと握って離す

そのまま指で手を撫でられてアタシはぶんっと振り払った

昨日の風呂上り、固定する紙テープがなくってセロハンテープでとめたガーゼをひっぺがす

スカートがまくれあがり、血はとまっているけれどもみみずのように生々しく赤い傷が、人よりも少し白い肌に這っている


「何、どしたの、この傷!」


一度声をかけられただけで名も知らない男が目を丸くし、直後に眉根を寄せて心配そうな表情を見せた


「あんたが女心をいたずらにもてあそんだとばっちり」


三人組が校門をくぐってしまう前に……

ふつふつと湧き上がってくる得体の知れないこの渦巻いてくる感情を……!!


アタシは男とあこに背中を向けて、駆け出した

「みさきちゃん!」と男は驚き
「諸岡!!」とあこが呼び止める



何が先輩だ、ちょっと先に生まれたからって、偉そうに年上ぶられる筋合いない

上級生だからちょっと黙って聞いててやったのに、刃物で脅されて屈服するほど悪いことは何ひとつしていない

筋の通らないことはキライ!!
そして、やられっぱなしは……もっとイヤ!!!




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