☆ハイローハート
「あーあ、俺、小さい子にならモテんのにな~
夏休みの間に彼女できんのかな……」

ナルは年中“彼女がほしい”と言っているけど、本当に作る気があるのかどうかは謎

自由気ままに合コンして、適当にその時々気に入った女の子と遊んでいる方が合っている気もするし


「とにかく明日のあきちゃんとの合コンに期待かな」


ナルの言葉に返事はせず、今日はバイトが終わるとそのままみさきの家に行こうとか考えていた


17時には閉まる市民プール

そこでバイトは終わりじゃなくて、プールの中に落ちているものを拾ったりすくったり、放置されたゴミを片付けたり……としているとあっという間に18時になって、それでやっと終わり

市民プール内にある自販機のジュースは無料でもらえるから、俺はコーラを持ってプールを出た


「明日何時??」

ナルに聞くと、「え、理一もう帰んの?」

「今日は疲れたから帰る」

「えっと、明日は……16時に駅前」

「了解、んじゃな」


俺はとよきとナルと別れるとコーラを飲みながらまだ明るい公園を横切っていった

結構デカイ公園で、片面はサッカーグラウンド、反対は野球もできるグラウンド、それに子供たちの遊具がある普通の公園がある

そのグラウンドの柵沿いにたくさんの低木が植えられていて、たまにベンチがあって、忘れられた三輪車がぽつんと寂しげだった


上を向いてコーラを飲み干すと、空き缶を公園のゴミ箱に捨てる


コン……と缶同士のぶつかる音


元の道に顔を向けると、前から知った顔が歩いてきた


――国坂
この辺に住んでんのか


……ポケットに入れた手と腰でかばんを挟んでケータイで話しながら向かってくる国坂は、俺より少し後にこっちに気付いたみたいで一瞬驚いた顔をしたけれどすぐに目をそらしてしまった

ま、別に挨拶する間柄でもないけど


相手が電話の相手と笑いながら話しているのが、気に食わなかった

< 244 / 756 >

この作品をシェア

pagetop