☆ハイローハート
昨日刃物をふりまわした女の背中に手加減なしのケリをお見舞いした

つんのめった女がおもしろいくらいにあごからこけていく

他の二人の女は慌てふためき……アタシの顔を見ておののき……体を寄せ合っている

そもそも、主犯格の刃物女にそそのかされて日ごろのストレス発散程度の軽いノリでアタシをいびったんだろう
まさかここまで恨みをかうつもりもなく
ましてやそこでこけたまま立ち上がれない友達のために自らが何かアクションを起こして面倒なことに巻き込まれることも望んでいないはず

「ケーサツ」

アタシがそう言うと、女二人が眉をぴくりと動かす

「昨日あんたらがしたことは、普通に傷害事件やから」

みるみるうちに顔を青ざめさせて「べ、別に直接手を出したわけじゃないし」とか「その場に居合わせただけじゃん」とか言い訳がましく責任逃れを繰り広げている

「それは、ケーサツで話して」

とアタシが畳み込むと、少し後ずさりして、言い合わせたように校門へと駆け出した

こけたまま放心のお友達は、見事に放置

女の友情って、マジでもろい
適度な距離を保つに限る

そこにあこが「ちょっとォ、びっくりするって」とアタシの横にやってきておもむろにしゃがみこむと、こけている女の顔をのぞきこむ

「大丈夫ですか、先輩……あ、肉そげましたね、あご

それ、後からめちゃくちゃ痛いし多分腫れますよ~」

平然とした声で、傷がどうなっているかの報告をしているけど、表現が生々しい

不意打ちであんなケリ食らって、地面へヘッドスライディングすれば、そりゃそうなる


そこへ更に男がやってきて、あこの横に同じようにしゃがみこんだ


「何回か一緒に遊んだだけだよね~?
もしかして、俺とつきあってるつもりだったりした??」


ドラマティックな修羅場をチラ見しながら他の生徒が過ぎていく


「もう二度と連絡しないでねん」


語尾のかわいさとは裏腹に冷たい声で男はそう言い放った






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