☆ハイローハート
「遅刻なんて珍しいけど、何かあった?」

勘が鋭いな……

「とよき……あこ、また新しい男できたって知ってた?」

「ん?ああ、また音楽やってるヤツだろ?」

「アイツ、芸術家肌の男好きだよな」

「……そうだな」

「とよき、体育会系やめて、文化系になったら?」

「無理だろ」

……とよきは、なんだかんだ言ってあこと連絡取ってんのか……


「みさきが留学したって……知ってた?」

「ああ、あこから聞いてた」

「俺……今日まで知らなかったんだよね」

「…………」

「あこから聞いて、知ってるんだろ
俺とみさきの事」

「いや、直接は聞いてネーけど、まあ……あこの口調から大体想像はついてる」


あーー、なんか言いたい事とか弁解したいこととか山ほどあるのに、何一つ言葉になってでてこない

脳と心がバラバラに動いて、引きちぎれそう

解読できない矛盾をとても伝えることができなくて、ただ黙ってただけなんだけど


「そこー!男同士で話さない!
こ~んなにかわいい女子がいっぱいいるんだから」

とナルに指差して注意されて、俺はますます黙ってしまった

「そうだよ~、横にいるアタシほったらかしィなん??」

とよきと反対側から声をかけられて、「ハハッ……ごめん」と笑って謝った

「理一くんだっけ?何か歌う??」

標準語の中にアクセントのように関西弁がポンと混じる

「んー、後でいいよ、俺は」

「そ?理一くん、西野カナと大塚愛どっちが好き?」

「……西野カナ?かな」

「よし、じゃあ、それ歌う」

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