☆ハイローハート
(みさき、精神年齢が子供……)

ちょっと笑いそうになって列に並んだままのさやかに目をやると、鏡を見ながら前髪を直していた


たまに感じる

間違ったパズルのピースをムリヤリはめこんだような違和感

だけど俺はそれを無視して、こちらを見たさやかに微笑んだ


観覧車内でさやかにリングを渡すと、涙を浮かべる勢いでものすっごい感激されて、渡してよかった……とマジで思って彼女の頭を撫でた


「誕生日おめでとう」


そう言って、髪に指を通していくと、毛先で絡んだ髪に指先がつっかえた

「イタッ」

「ごめん……」

と髪をほぐすと、反射光を四方八方にのばすリングをゆっくりとはめていくのが視界の端にうつる


リングをプレゼントする男は、何を思ってプレゼントしているんだろう


“この女には俺という男がいます”という自己顕示??

“俺の所有物”という証??


だとしたら、俺がさやかにあげたリングは何を意味しているのか


……


四方に散る光に囲われて……俺は蜘蛛の巣にとらわれた小さな虫のように

そのリングがさやかの手に飾られている間は、開放されることなく縛られ続けるような……そんな予感に背中がすこし寒くなった


そしてやっぱり

俺はさやかと唇を重ねることで

何もかもをごまかした


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