☆ハイローハート
季節がすぎるということをこんなに強く意識して過ごしたのは始めてかも

自分ではさほど気にはならないんだけど

食欲はあんまり無い

性欲はある

だけど満たされるのは快感に脳を支配された数秒だけ


さやかには優しくする

その分チャコちゃんには優しくできない


さやかとはデートする

チャコちゃんとは相手の家でしか会わない


二人がお互いの姿を意識しないように気遣ったことはない

それはいたって普通で、部活がなくて浮いた時間をナル達と過ごさないのなら彼女たちと潰していただけ


ナルが女とデート、らしくて……部活をサボって出かけた日

俺は部活が終わるととよきの部活が終わるまで学校の花壇に座って待っていた


目の前を通り過ぎていく女子達の短いスカートを眺めながらケータイを操作していると、チャコちゃんから届いたメール

“理一くんの誕生日の9月3日、夜遅くてもいいから会いたいな”


返信する前にとよきがやってきて、俺は立ち上がった


「今日兄貴いねーから、こないだの漫画の続き読めるよ」

と、とよきに伝えると「んじゃ、行くか」と俺の家の方角へ向かって歩き始める

校門の脇に生えた大きな木は、まだまだ暑い日差しにうだるように葉を下に向けている


俺がケータイをポケットにつっこむのを横目で見たとよき

「うまくやってんのか?」

と聞かれて、ため息をついた


「ちょっと、めんどくせー」

と苦笑いする

とよきはフンと鼻を鳴らすと「今日はあこの家に行くか」と片眉をあげて笑った



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