☆ハイローハート
「お前なア……」

とよきは今度こそ本気でため息をついている

改札をくぐると電車が入ってくる音がして、俺たちは少し早足になった

閉まる直前のドアをすり抜けて、車内で一息ついて……


「病気なんじゃねーの?」


とよきは俺の顔を見ながら、そう言った

どういう意味かわからなくて黙ったままでいると、ドアの近くにカバンをどさっと置いてもたれたとよきが

「同じ幼なじみでもえらい違いだよ」

と呟いた

「身近にあんなしっかりした女がいるのに、なんで理一はそんなにグラグラになったんだよ」

グラグラ??
どこが?どの辺が??
むしろ俺はものすごく自分の欲望に素直なだけですけど……

とよきみたいに難しい事考えて女といても楽しくねーし


「あこに処方箋でも出してもらえば?」


……超わけわかんねーし




すっきりしたくてした質問に全て謎の回答を返されてこんがらがった俺の頭


部活で泳いだ後だからか、とよきはコンビニでパンを3個も買っている

……俺も部活の後だけど、ちっとも食欲はわかなくて

とよきに付き合って、コーヒー牛乳を買った


最後にあこに会ったのは“みさきは留学してる”と聞かされた日


今日あこに会ったら……

みさきが元気かどうかが聞きたい

だって、俺の中に残ってるみさきは、床に座り込んで絶望したように俺を見上げた顔だから……


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