☆ハイローハート
俺は、電話帳に登録してあるみさきの電話番号やメールアドレスを何度も表示させては消していた

正直、今までメールするよりは5階に下りた方が早かったし

家にいるかどうかの確認だけで、ただ話したくて電話をしたこともない


いざ、何かアクションを起こそうとメール画面を起動しても……

一行目からつまずいてしまう


――お元気ですか??

――ヤッホー★理一だけど

――留学したんだって??


どれもしっくりこなくて……

メールですらそんな調子なのに、もちろん電話することなんてできなくて


時間が流れて日にちばっかりがすぎていく


無気力っていうか……

無関心っていうか

めんどくさい

ほかの事考えるのが



結局自分の誕生日は「体調を崩した」ということにして家で過ごして

極端にチャコちゃんとは連絡をとらなくなって

電話がかかってきても、出ないことが多くなった


ただ全ては自分が巻き起こした結果なんだけど


学校でケータイ片手にぼーっと終わりのHRを聞いていた

別のクラスのナルはもうHRが終わったみたいで、なにやら焦った顔をしながら教室の窓からこっちを見ている


……なんだよ、また合コンの誘い?

俺当分合コンは……


なんて思っているとクラス委員の「きりーつ」という単調な声が聞こえて、俺はカバンを持って立ち上がった


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