☆ハイローハート
月日の感覚がなくなってて、少し風が涼しくなったな……とか、木々が少し色を変えたな……という事実は、みさきが帰って来るまでにやり過ごさなきゃいけないただの通過点だった


だから、チャコちゃんに連絡をとらなくなって数日なのか、数週間なのか、数ヶ月なのか……
そんなことすらはっきりとわかっていなかった、んだけど


ものすごい勢いでナルが入ってきて周りを確認すると、俺の耳元に口を寄せてくる


「……なんだよ、気持ち悪いな」

「いーから聞けって」


ナルは潜めた大声で俺の腕を引く


「校門でチャコちゃんが待ってる」


……え。


「お前、今日予定どーなってんの」

「……いや、部活が終わったら帰る予定だけど」

「どーすんだよ、ここまで来るくらいなんだから、絶対部活終わるまで待ってんぞ」


いつのまにか来ていたとよきが背後から「逃げ続けるのも限界あるだろ、そろそろ話すれば??」と呆れた声を出す


ナルは他人事なのに人一倍あたふたしてて……


「ナル、俺ちょっと部活遅れるって言っておいて」


と、校門に向かった


持ってきたケータイでチャコちゃんの番号を鳴らすと、ワンコールで応答


「理一くん?今ね……」

「知ってる、学校まで来てるんでしょ??
そっち行くから、学校の裏にある神社の入り口で待っててくれる?」

「……わかった」


二番目でもいいなんて発言する女だからきっとドライで、こうゆうことをするタイプじゃないと思ってた
っていうのは俺の勝手な想像なんだけど

いや、むしろ二番目でもいいなんてぐいぐいくる性格なんだから、こうなる可能性はむしろ高かったのかも

神社の入り口に立つチャコちゃんは、出会った日のように髪をアップにしていた

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