☆ハイローハート
脇に生えている大木に姿を隠すと、チャコちゃんの腕が俺の腰にまわって、顔が胸に押し当てられた


「会いたかった」


そっと肩を持って引き離すと「ごめん」と謝る


「俺ね、もう……チャコちゃんとは会えないんだ」

「……なんで?」

「ごめん」


とただ謝る

「二番目でもいいよ、アタシ」

「いや、そうじゃなくて」

「学校にまで来ちゃったから?」

「……そうじゃないって」


神社の向こう側から聞こえる学校の喧騒とは正反対の沈黙


足を少し動かしただけで、下に落ちた葉が潰れてきっかけを作る


「ごめん……大切にしたい人ができた」

「何、今更……彼女を散々裏切っておいて」


……そう、なんだけど……


泣かれるかと思ったのに、チャコちゃんはどちらかというと怒っている


「彼女とのエッチだけで満足できないくせに」

言葉を失っていると、彼女は少し顔を寄せて声を抑える

「理一くんって、女の子をちょっと乱暴に扱うくらいの方が興奮するみたいだし」

……こわ

「彼女にはそんなことできないんでしょ?
欲求不満になっちゃわない??」


チャコちゃんは俺が“大切にしたい人”を彼女だと勘違いしている


俺の手を握ってこようとする彼女の手をゆっくりと拒んだ

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