☆ハイローハート
俺の横にしゃがみこんだチャコちゃんのお兄さんは「こんな弱い男のどこがいいんだよ」と吐き捨てて、立ち上がるとそのままきびすを返して神社から出て行った

……それは、むしろ俺が一番聞きたい


芝生や落ち葉の上で寝転がるほど自然愛は持ってないけど、今ばかりは自力で起き上がることができずにそのまま倒れていた

「理一」

と呼ばれて腕を引き上げられると、近くの大木に上半身を預けて座った

ナルはナナメ後ろで同じようにもたれかかって手足を投げ出している


「ナル……なんか、ごめん」

「……俺、あきちゃんとの付き合い、ちょっと考えよう」

「ほんと……ごめん」

「ま、別れられて良かったじゃん……」


早い鼓動を落ち着かせるように鼻から大きく息を吸い込んで、それを全て吐き出した


「ナル、あのさ……」


と俺が話し出すと、「うん」とナナメ後ろから返ってくる声


「俺さ……
なんか……みさきの事が、好き……みたいで」


「今更」

ナルの返事に一瞬驚いたけど、それはすぐにため息にかわった

自分の気持ちに気付いていなのは、自分だけだったっていうバカさ加減

「確かにさやかは世間一般的にウケるかわいさだけどさ
理一が中1の時にあこがれてた先輩も、中3の時の元カノも、みさきタイプじゃん」

「……そーだっけ」

「大体ねえ、お前、なんで自分でわかんねーんだよ」

「わかんねーよ、そんなこと考えてねーもん」


大勢走ってくる足音が聞こえてきて鳥居の方を見るととよきが駆け込んでくる

そしてこっちを見上げると足を止めた

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