☆ハイローハート
とよきの後ろから野球のユニフォームを着た奴らが何十人と金属バットを持って現れたから、リアルにずるっと肩がずれた

えらくいっぱい連れてきたな……
っつか、すげー人望だな、とよき

とよきは野球部の奴らを止めると、両手を合わせて何度も頭を下げている

バットをずるずると引きずって手を挙げながら去っていく奴もいれば、こっちに手を振ってから立ち去る奴もいた

白のジャージ上下姿のとよきは段飛ばしでこっちに向かってくると、ちょっと離れたところから肩を震わせている


そして近くにしゃがみこんで俺とナルの顔をのぞきこむと「めっちゃヤラれてんな~」と笑い出した

……どうも


「しかもさ、こんなタイミングでみさきの事が好きとか告白してくんだけど」

とナルの言葉を聞いたとよきがニヤニヤしてバツが悪い


「俺らの方が知ってるよな、みさきが理一のど真ん中って」

ナルが言うと、とよきがうなずく

俺は「違うって、俺のどストライクはさやかだって」と否定したけれど、二人は相手にもしてくれない

「だって、理一さあ……
お前の兄ちゃんが持ってるエロDVDの中で一番好きなヤツのタイトル言ってみ?」

俺はナルにそう言われて、頭痛の種を持つ脳みそで思い出そうとした……けど


「……タイトルなんか覚えてねーよ」

「んじゃ、内容は」

「生意気な女子高生を生活指導するヤツだろ?」

「二番目に好きって言ってたヤツは?」

「……隣に住むつんけんした若妻をヒィヒィ言わせるヤツ」

「三番目は??」

「ええ??……んーっと、偉そうな女教師を黙らせるヤツ……かな」


とよきはめっちゃ笑ってるし、ナルは「ほらな~」と得意気に言う

は?
何がどうで、なんだっつーの


ナルは「まだわかんねーの、お前……ほんっとに自分のこと知らねーなあ」と呆れ顔でこっちを一瞥して


「全部、強気な女をひれ伏させて調教するって設定じゃん」

と言って、とよきと大笑いし出した


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