☆ハイローハート
さやかはストレートに感情をあらわにして、それがダイレクトに伝わってくる


「さやかのこと……嫌い?」

この質問の模範解答はなんなんだろう

考える間も無く「さやかのこと……嫌いにならないで」とまた大粒の涙が落ちていくのが見えた


「チャコさんって人と別れたのは、さやかの為だと思ったのに……違うの?」

「……いや、それもあるんだけど……だけどそれだけじゃ、ない
ごめん……」

「……それだけじゃないって?」


さやかは涙を拭かずにまっすぐとこちらを見る


「……俺、他に好きな人が」

まで言いかけると、彼女が突然耳をおさえて青ざめた

「やだっ……誰?」

誰って……

「やだっ聞きたくない」

支離滅裂にさやかは耳を両手で塞いだまま大声をあげる

突然彼女は俺に向かってきて「その人って、さやかよりかわいい人?その人の何がいいの?」と詰め寄った

返事に困ったまま、俺の腕を強くつかむさやかの手をゆっくりと引き離す


「……ごめん
さやかと比べてどうとかじゃ、ないんだ」

「じゃあ何?さやかの何が負けてるの?」

勝ち負けじゃ……なくて

「さやかと付き合ってるから、男子みんなが理一くんのことうらやましいって言ってるよ」

「うん」

「さやかが彼女だと自慢でしょ?」

「うん」

「さやかが振られるなんて、絶対ヤダ
絶対別れない」

「……俺がさやかに振られたってことにするから」

「ヤダ、理一くんじゃなきゃいやなの、絶対いや」

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