☆ハイローハート
色々と騒がしかった一日が終わっていく

家に帰ると、さっきまで誰かと一緒にいたことがウソみたいに思えるほど静かで……


アタシは制服を着たままテレビをつけると、ニュースを読み上げる単調なリズムをバックミュージックに制服を脱いでいく


コンビニ弁当を食べる前にシャワーをあびた


マスカラを落とすと、つりあがっていた目じりが少しだけ下がる


石鹸がつくと、太ももの傷はまだヒリヒリと鈍い痛みを感じさせた


トリートメントが浸透するまでの3分間
浴槽のふちに腰掛けてシャワーを体に浴びていた


こうゆう一人で過ごす一人の時間がキライだった

小さい頃は、どうやって時間を潰せばいいのかわからなかったから


小学6年生の時、近くの中学校の男子に告白されて……何かがかわった


女としての自分は、誰かに求められる存在なんだと気付いたから


食費として与えられていた金銭は、食事代としては多すぎるほどだったし、それを少し節約するように心がけるとますます余裕ができた



その当時買ったのは、少しお姉さん向けの雑誌

ネイルケアセット

いい香りのするボディークリーム

無駄毛除去クリームも……



現実に戻り、棚に並べてある期間限定のチェリーブロッサムの香りのボディソープをたっぷりと泡立てた

シャワーをとめると、リビングからニュース番組の音が漏れ聞こえてくる


アタシは泡で包まれた全身を流してお風呂場を出た

濡れた髪をタオルで巻き、体にバスタオルを巻きつけると、化粧水と乳液を顔からデコルテまできれいにのばした


鏡の前でバスタオルをはぐと、ボディソープとあわせてかったチェリーブロッサムのボディクリームを足の先から指の先、胸にも塗る


塗らなかった日はない


女でいることが、アタシの存在価値なの


誰かに必要とされていないと、アタシは潰れてしまう




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