☆ハイローハート
「アアッ」

と悲痛な声が出る

勝ち誇ったように去っていく龍一の背中を見送って、俺は部屋に入るとひざをついた

「なんで、龍一にだけメールが……
なんで、龍一のアドレス知ってんだ」

「イブはさやかとデートしてるって思ってるから、お前には送ってこないんだろ」

とよきにそう言われて(なるほど……)と納得するも、どーしてもさっきの笑ってるみさきの写メが欲しい

……俺の持ってる写メ……「ゲッツ」だし

「ナル、最近流行ってるギャグって何?」

「ギャグ??
何、やぶから棒に」

「いいから、ギャグ!!」

「ブラジルの皆さんきこえますかーーー??」

「……は?」

「ヒィーハァー!!」

……ナルの全力ギャグだけど、どれも写真で表現しにくいし……

「すっげー関西臭だな」

ととよきが吹きだしている

確かに、ノリが関西っぽい
いや、みさきにはむしろそれくらいがいいかもしれない

でも……“ブラジルの皆さんきこえますかーーー??”って送ったら、「アタシブラジルじゃなくて、オーストラリアにおるけど?」とか言われそう

リアルに俺が間違ってるとか思われそう

とよきは食べ終わったプリンをビニール袋に入れると「ラブ注入じゃねーの?」と呟いた

「ちょっ!!写真撮って!!」

と自分のケータイを渡すと、ナルが「へ??」と不思議な顔

ラブ注入ポーズで止まったまま待ってるのに、ナルととよきは笑ってなかなか撮らないから何度もバランスを崩す


撮ってもらった写真を添付して、メールの文面を考える

「みさきに俺のラブ注入~とか入れたら?」

と、とよきが冷やかしてくる

「違うだろとよき、理一は他のモン注入したいんだよな」

と、ナルがニヤニヤ笑っていた

< 333 / 756 >

この作品をシェア

pagetop