☆ハイローハート
ナルの言った一言で俺はケータイを奪い取るとじっと見て……「似てねえ!」とその動画を“切る”ボタン連打で消した


「あ、もう!みさきに似てるから好きなのに!!」

「似てないっつーの」

「何だよ、想像くらいさせろよ」

「他の女でしろ!!」


とよきが吹きだしている

「何だよ、想像くらいで怒るなよな……
あ、そうそう、これこれ、このGカップ女優はさあ、顔があこに似てるんだよ」

と今度はとよきにケータイを差し出したナル

とよきにしばかれる前に、後ろから伸びてきた足がナルの背中を蹴っ飛ばした

カブのグルーミングを終えてイスに座っているあこが、前のめりに床に手をついたナルを容赦なく両足でバタバタと踏みつけにしている


何度も
何度も
何度も


「やっぱり立ち入り禁止!
帰ってくれる!?」

「え~??また??」


ナルは飛んで行ったケータイを取ると「似てるくらい、別にいいじゃん」とボソボソ愚痴った

……それを本人の前で言っちゃダメだろ

それと、みさきに似てる女は探さなくていーし


ナルのかばんと俺のカバンを持ったあこがそれを部屋の外に投げ捨てた


「「あーーーあ」」


と俺とナルはしぶしぶ立ち上がる


玄関までくると、とよきが来ていないことに気がついた


「え?とよきは??」

「とよき……は」

あこが言いにくそうに一瞬視線をそらした

< 350 / 756 >

この作品をシェア

pagetop