☆ハイローハート
右手で叩くと見せかけた左手の攻撃もあっさり見切られてとよきに避けられてるし……

あこは諦めて信号に向き直ると、今度は無視

……付き合う前とかわんねーじゃん


なんて思っていると、青信号になってサッサと歩き出したあこの肩に腕をまわしたとよき

抗っても攻撃してもどうせ敵わないと悟ったのか、あこは肩を抱かれるがままだった


あの二人はきっとこっちには気付かないだろう

俺たちは信号までまだ距離があるし……


知らない振りしとこ


と決めたそばから、とよきを見上げて一言二言話したあこの視線がこっちに向く


やべっっ


と焦って、さやかとつないでいた手を思いっきり振り払ってしまった


「??」

って顔でこっちを見たさやかに言い訳が見つからない


気まずいまま横目であこの方を見ると、目が合ったと思ったのは勘違いだったのかそのまま歩いていってしまっていた


「理一くん?どうかした??」

「あ、いや、最近俺、手あせがすごいからさ」

「え?」

……なんだその苦し紛れのおっさん臭漂う言い訳


「うん、なんか、ちょっと……」


と制服のズボンのポケット辺りで手のひらを拭う振りをした


「理一くん、オッサンみたい」

「はは……もう、加齢臭とかするかも」

「そんなことないよ?
理一くん、いっつも無臭
そんなとこまで女の子に人気なんだもん」

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