☆ハイローハート
「許すも何も……モロは最初から怒ってなんかないでしょ」

「え??」


「自分がモロの事を好きだという感情には気付いても、他の事は見えないんだ」

少し感情をあらわにしていたMJの目に冷静さが戻っていた

俺が返す言葉を見つけられないまま黙っていると、MJは落ちた二枚のタロットカードに目をやった

裏返ったまま落ちたタロット

俺はそれに手を伸ばすと拾ってテーブルに置く


「モロは、自分をさらけ出して人と接することが苦手なの
受け入れてもらえないと怖いから
受け入れてもらえなくて、辛い思いをしたことがあるから」


確かに、みさきは自分の事を語ったりはしなかった


「だから自分を受け入れてもらうために、相手を受け入れるの
こうして聞くと自己中っぽいけれど、誰だって受け入れてもらえるのって嬉しいのよ
現に私はすごく嬉しかった
あなたもそうでしょ??」


声に出せず(うん)とうなずく


「だから私はいつかモロが自分をさらけ出してくれた時に、それを全て受け入れる自信がある」


MJの言葉はおもりをつけたように俺の心に沈んでいく


「だけどあなたは、自分は全て受け止めてもらったくせに、モロのことをひとかけらすら受け止めなかったのよ
しかも、わざわざ破って捨てた
なのに“みさきの事が好き”だなんて」


彼女は俺を見て微笑んだ


俺は凍ったまま



「あなたなんかより、私のほうがよっぽどモロの事を好きだわ」



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