☆ハイローハート
帰りの電車にはサラリーマンや会社帰りのOLが多くて、ドアの近くに立ったままなんとなく左腕をさすっていた


「なんだったんだろーね、MJのお母さんの意味深な言葉」

俺の仕草に気付いたあこが首を傾げた


「霊媒師ってもっと白装束とか着てんのかと思ったけど、すっげー若妻みたいじゃなかった??」

と俺が言ったのに応えず、あこは俺の腕をじーーーっと見つめている


「理一、さやかが骨折したのってどっちの腕だった??」

「左」

「え、左?!」


と彼女が少し引いている

……何か関係ある、とか??


「さやかの怨念なんじゃないの~??」

「怨念って、まだ生きてるからね」

「じゃ、生き霊だ」


「お前なあ~」

と左腕であこに触ろうとしたら「触んないで!」とすごい勢いで逃げていく

ムッとした俺は更に指先を伸ばしてあこの腕をつかむと、彼女の腕や背中に左腕をこすりつけてやる


「呪われるッッ!」

と悪霊扱いされていると、横からとよきが俺とあこをビリッと引き離した


「なーんだよ、こんなんで悪霊が憑りついたりしねーっつーの」

と俺が言うと、とよきは怖い顔をして


「悪霊がとりつくとか生き霊がどうとかじゃなくて、あこに触るな」


と言った



……あ

そっちですか

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