☆ハイローハート
あこの両親が不在気味なのは、仕事が多忙なせい

両親がそろって帰って来ることは珍しい

自宅から2駅離れた場所にある事務所は、確かあこが幼稚園に入園するころくらいに設立されたはず

軌道にのるまえはよくあこと一緒に事務所にあそびに行ったりしていたけれど、小学校の高学年になるころにはすっかり忙しくなっていて寄り付かなくなってしまった


フラワーバレー法律事務所


まあ、「花」「谷」を直訳したらフラワーバレーだからっていうネーミング

優しいイメージのあるこの名前のせいか、あこの母親が専門にしていた“離婚問題”の相談が急増して……

父親は昔からの友人の興した会社の顧問弁護士をしている以外は、母親一人では首が回らなくなりそうだった“離婚裁判”の手伝いをしていた

今では事務員が二人もいて、他にも弁護士が数人いる事務所になっている


つまり


あこの両親はそろいもそろって、弁護士なんだ


……と思えば、あの口の達者なところも、正義を振りかざすところも、遺伝っちゃー遺伝なんだろーけど


「地元の駅前のコンビニ横にサブウェイできたじゃん??
あそこのニ階席からだと、駅出て階段降りてくる人が全部見えるの知ってた??」


ナルが二階席の「2」なのかピースサインなのかわからない「2」を俺たちの前にちらつかせた


「電話できねーなら、あそこで待ち伏せちゃおーぜィ
俺も風香ちゃんと待ち合わせの時間まで付き合うし」

「ふうか?」

「そ、風香ちゃん、名前までかわいーだろ」

「写メねーの?」

「あるある、後で見せてやるよ」


とみんなで一緒にサブウェイへ向かった


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