☆ハイローハート
……好き、ねえ

元々ドライな女で、片思いに苦しんでる姿が想像つかないんですけど

男にすがりつく姿も見たことない


「俺が小学生の頃からずっと好きとか言ったから……同情したんだな」


それは、確かにすんごい熱烈な告白

一途な片思いとか、真摯な手紙とか……女ってそういうのに弱いのかな


いや、でも、待てよ


「あのさ、あこの幼なじみで日ごろからあこに虐げられてる俺が思うに……
あこは……同情で男と付き合う女じゃねえよ
そんな情、アイツは持ってない
あこはそんな優しくない
嫌いなら嫌いってちぎって、みじん切りにして、凍らせて、かなづちで粉々に砕くくらいのことするよ」

「そこまでひどい女だっけ??」

「とよき覚えてねーの?
中学ん時、あこが先輩に告白されてさ~
“ダメなの、ああいう油っぽい肌、吐き気がする”って言ってたの」

「覚えてるけど」

「その先輩がしつこかったのも覚えてる?」

「んー、なんとなく」

「とにかくしつこかったんだよ
しかもあこは相手の外見からしてダメなのに、しつこくされて余計嫌がってさ」

「そうだっけ?」

「校門で待ち伏せされて、あこが逃げようとしたらその先輩があこの腕を掴んだわけ」

とよきはその場にいなかったんだっけ?

首をかしげている


俺はそのシーンを今でもはっきり覚えている


あこが「ギャッ!!」と悲鳴をあげてその腕を振り払うと先輩が

「花谷さん、一度だけでいいからデートしてくれないかな?」

と興奮気味に寄ってきて再びあこの手を両手で握り締めて……


あこは一瞬で青ざめて、横にいる俺に「気持ち悪い……」と訴えた瞬間

昼に食べた物も、飲んだ物も、とにかく体内にあるものを全部リバースしたという……

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