☆ハイローハート
「理一くんとさやかが別れたら、みんな喜ぶだろうな」

「さやかのこと、狙ってる男多いからね」

「……そーじゃなくて
理一くんの事が好きな女子、いっぱいいるから」

「いないでしょ」

「知らないだけでしょ?
ね、聞いていい?」

「何?」

「その人、さやかよりかわいい?」

前にも聞かれたけど……なんて、答えればいいんだろう


「…………悔しいな」

さやかの感情に戸惑っていると、彼女の目から涙がこぼれた

伏せられている目にたまっていく涙


「……ごめん」

ただ謝ることしかできない

「理一くんの事が好きな子達は、さやかは顔がかわいいから理一くんと付き合えてるって思ってるの」

涙声で聞こえてくる

「……そんなことないよ」

と慰める自分の言葉に全く説得力がないように感じて、空々しかった

「さやかは、顔しか取り得がないって……きっとみんな思ってるんだもん」


女って、よくわからない

そんなにいがみ合ってるもんなのかな


「理一くん……別れても友達でいてね」

さやかの言葉に、「うん」とうなずいた


「学校の中で、一番仲のいい女友達にして……あこちゃんにしてたみたいに」

それに何の意味があるのかはわからないけれど、俺は「うん」とうなずく


「絶対ね、じゃないと、さやか学校に行けない」

「……うん、約束」

と言うと、さやかは涙を拭いた



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