☆ハイローハート
「ごめんね、彼女追い払っちゃって」

大西ルカが手を合わせた

「いや……」

「ラブラブなんだね~、今でも」

「あ~……もう付き合ってないけどね」

「……そうなの??」


俺は声に出さずに数度ゆっくりうなずいた

「そうなんだ……
いつも一緒にいる三人の中で彼女いたのって一人だけだったから、今は三人とも募集中ってこと?」

「それが、とよきもナルも今は彼女持ちで、寂しいのは俺だけ」

「うそ!」

さやかと別れたって言った後の反応とは格段に違う驚きっぷりに、こっちが度肝を抜かれた

「とよきくん、彼女いるの??」

あれ?大西ルカって、最初とよきのこと“種田くん”って呼んでなかったっけ??
クラスリーダー同士で親睦深めちゃったりしてる??


「いるけど」

……シケた返答だ

「彼女この学校の子?」

答えないとよきの代わりにまた俺が答えるという図式が成立してしまうのはナゼ??

「とよきの女はS女」

「……そーなんだ……」

読み取れない表情だったのはほんの1秒程度
すぐに大西ルカはさっきとかわらない笑顔に戻った


この遠足をきっかけにクラスリーダー同士は仲良くなり、俺がさやかと破局したという噂が学校中に広まった


新学期ってそれ相応に忙しくて、やっと教科担任とクラスメイトの名前がわかりはじめたころにゴールデンウィークを迎えて、気温が心地いい季節の訪れを肌で感じる日が続く


カウントダウン

みさきが帰って来るまで、あと1ヵ月ちょい


湿った空気と雨の季節

憂鬱な雲間にさす光

みさきに会える


そしたら何を言おう

みさきに伝えたいことは一年分、

溜め込んだ思いは、それ以上

言葉にしてしまうとアホっぽくて、俺は堂々巡りする思考に困り果てていた

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