☆ハイローハート
国坂の提案で高速バスに乗って地元近くまで戻ってくると、そこからは電車に乗った

久々に入ったみさきの家は新しい家具が運び込まれていて、あの日なくなったものは全て新品に補充されていた

明らかに未使用、保証書が貼り付けられたまま

「わ、しんぴーん!!
感謝感謝」

みさきが騒いでいる間、俺は以前のままのローテーブルに乗っている置き書きをみつけた

見るつもりはなかったけれど、短いその文章は一瞬で読めてしまう


――おかえり
たりないものがあったら電話するか、店に顔出して
     ママ


ママ

……みさきって、ママなんて呼んでたっけ??

いや、「お母さん」って呼んでたよなあ……


「みさき」

と呼んで、その置き手紙を手渡した

「ん、サンキュ
さて、片付けるか」

「ちょっと座って休んでたら?
さすがに疲れたでしょ?」

MJはコンビニで買ってきた紙パックのカフェオーレを取り出して渡しながら、みさきを座らせる

「家の掃除してあげるから、あとでそのトランクの中身は自分で片付けて」

「ありがとう~MJ~~~」

新しいソファーにみさきは三角座りしながらMJとあこが動いているのを見ている

さて、何するか……

なんて考えていると、あこに「男は座ってれば?」といわれて、すごすごと俺と国坂はきれいな木目の新しいダイニングテーブルのイスに座った

みさきはダイニングテーブルの上のほこりをふっと吹き飛ばすと、「はい」と俺と国坂の分のカフェオーレも出してくれる

自分でしたくせに、自分でほこりを吸い込んでむせてるみさき

めがねの奥の国坂の目は、みさきを見る時にだけ優しさを帯びる

「やっぱり、女の子の友達は頼りになるね
俺来ても邪魔なだけだったかな……」

ほんと、邪魔

< 415 / 756 >

この作品をシェア

pagetop