☆ハイローハート
MJに言われて俺は冷蔵庫をのぞいた

……お茶と、オレンジジュース……低脂肪乳


一年間いなくなるってわかってんだから、捨てて行けっつーの


かと言ってMJに“否”という根性もない俺は、順番にフタをあけて……容器を傾けた


お茶って、ドロッてするんだ

ドロッてなるんだ


……水を流しながらお茶と、オレンジジュースを流す

思っていたほどの悪臭もしない


低脂肪乳以外は


MJは鼻を押さえて嫌そう~な顔


全て流し終えると、MJは空きパックをゴミ袋に入れた

「ねえ理一くん、買ってきたゴミ袋を玄関に置いてるから取ってきてくれない??」

……MJって人使い荒いっていうか、俺使いが荒い

なんか、俺だけ修行みたい


ま、いいけど……


廊下を出ると寝室のドアが薄く開いてて、中でみさきがトランクをあけてガサゴソしているのが見えた

ゴミ袋をとって戻ろうとすると、国坂の声が聞こえてくる

別に聞こうと思ったわけじゃない、聞こえてきただけ……不運にも


「一年間待ってたのは間違いじゃなかった」


あーー、まずい


たかがゴミ袋を取りに行くだけで戻ってこない俺を不審に思ってMJがリビングから顔を出してのぞいた

足の上に重りを乗せられたように動けない

「いつもメール、すごい嬉しかった
なんかうっかり寂しくなってしまいそうなときは、国坂くんからのメールに返事したら気分が紛れたし」

一年間俺は自分の事で精一杯で、フラフラしてただけ
何一つ、みさきのためにしてあげたことはない

< 418 / 756 >

この作品をシェア

pagetop