☆ハイローハート
「アイツが国坂か……」


とよきがそばを食っている

あの一瞬であこはとよきにそばを二個持たせたらしい

まあ、あこらしいといえばあこらしいけど……

「ナル、俺の分のそば食っていいよ
俺、何か食べるって気分にならない」

「マジで、ラッキー♪
風香ちゃんとさ~イタリアンのお店でランチしたんだけど、これが超OLサイズでさ
腹減ってたんだよね」


なんか俺しんみりしたいのに、バックミュージックはそばのズルズル音って……


「で、みさきはあっさり国坂の告白受けちゃったんだ
そんないい男なの、国坂って」

なんでナルってこんなにいつもあっけらかんとしてんだ?

コイツと話してると(大したことじゃねーじゃん)って言われてる気になる

すっごい大したことなんだけど


「まあ、いい男の部類なんじゃねーの??
少なくとも理一よりは誠実そうだしな」

誠実とか言われても、俺も誠実に生きてるつもりだし

くっそ、とよきもナルも幸せだからって……と、話を遮るように俺はコンポの電源を入れた

確か、ONE OK ROCKが入ってたはず

テンションは上がらなくても、せめてそばをすする音が消えればいい

「あ、俺ね、風香ちゃんにEXILEのCD借りたんだ
好きなんだってEXILE」

と勝手にEXILEのCDをセットしてPLAYを押すと、音楽よりもデカイ声でナルが歌うから俺はベッドに倒れこんだ


なんなんだもう……


「女ってEXILE好きだよな、あこも好きだって言ってたわそういえば」

とよきもEXILEのCDケースをまじまじと眺めている

「ああ、あこ好きそう~~、風香ちゃんはねえ……」

二人が彼女の話ばっかりして、俺は布団で耳を塞ぎ


「女の話ばっかりすんじゃねえよ!!!」


とこもった声で抗議した


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