☆ハイローハート
EXILEの歌詞がしみわたる……

しばらく聞いているとすっかり男達の歌唱力にヤラれてしまって、深く深くため息をついた


落ちていけそう、どこまでも

病気以外で食欲がなくなったのははじめてだし

しゃべる気力すら出ない


「貴重だな」

「うん、かなり貴重」


俺は布団からちょっとだけ顔を動かすとまじまじとこっちを見ているとよきとナルを見た

「なんだよ……」

「今まで散々女を手玉に取ってきた理一が、フラれてる」

「手玉に取ったことなんかねーし……」


ナルが俺の机の引き出しの奥からエロDVDを取り出すと俺の背中に置いて肩をトントンと叩くとウンウンうなずいた

見てみると俺が一番好きで兄ちゃんからこっそり盗んだ“生意気女子高生を生活指導”……


「こんな気分じゃない」


とそれをベッドの下に置くと、とよきが「あこからメール来た……国坂帰ったらしいけど、どーする??」と俺に判断を仰いだ


どんな顔して会えばいいんだか、って布団にねそべったまま思案

「俺みさきに会いたい!!」

とナルがスタッと立ち上がって、俺の腕を引いた

「行こうぜ理一、避けてたって仕方ねーじゃん」

ナルが引っ張る腕に全体重をかけて「だって、顔見たら諦めらんねーじゃん……」と駄々をこねると、ベッドサイドにしゃがみこんだとよきに

「ガキ」

と罵られた

どーせガキだよ……


するとナルが多分今まで史上最高にあっけらかんと言い放った


「なに理一、もう諦めるつもりなの??」

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