☆ハイローハート
松本さんは母さんと顔見知りだから、俺だけでも機種変を受け付けてくれた

俺が色々手続きしてもらっている間、みさきはスマートフォンのケースを選んでくれている


「理一くんの彼女?すごい美人だね」

「……彼女じゃないよ、彼女にしたいけど」


振り向いて見ると、ピンクだのラメだののケースを手に取ってみている


……俺のじゃなくて、自分の選んでるな


こうして一緒の空間にいることがウソみたい

なのに、アイツは俺の彼女じゃなくて……他の男の彼女で

あの手も、あの髪も、あの目も全部、俺のじゃない


耐え切れんのかな、俺

みさきが国坂の彼女でいることに

一緒にいる今ですら、独占欲に負けそうになっているのに


そっと寄っていって後ろに立つと「いいのあった?」と声をかけた

驚いたように体を起こしてこっちを見る彼女に微笑みかける

「今日はやめとく、他に買い物いっぱいあるし
理一は?黒系がいい??」

「あんまり黒だとさ、カバンの中でどこに入ってるかわからなくなるだろ?」

「そうだね~」


またケースを物色しはじめたみさきをじっと見ているだけ

彼女の手を握りたくてうずうずするし、髪に触れたいのに我慢してるし

この衝動に負けそう

それでなくても、禁欲生活長いし


いかん
……優しく、優しく


「これは?この迷彩!!すっごいかっこいい!」

「みさきがかっこいいって言うなら、これにする」


とそれを手に取ると、みさきはウレシそうに「ほら、迷彩のイヤホンもあるよ!」と俺に手渡した

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