☆ハイローハート
学校の門が見えてくると、アタシはループピアスをはずしてブレザーのポケットに入れた
ブラウスのボタンをしめて、ネックレスを隠す
同じようにあこもリングをはずして、カバンの中に入れていた
登校を見守るかのように校門には教師が一人立っている
……昨日の乱闘騒ぎがあったから、かもしれないけれど
アタシ達は遅刻ギリギリ
早足で門をくぐっていこうとすると、アタシよりも背の低い男の先生が難しい顔をしてこちらを見ていた
獲物をみつけたといわんばかりに、歪めた口
不自然なくらいに硬そうな毛をオールバックにかためている
「おい、お前ら何年生だ
肩より長い髪はたばねて結べ!
生徒手帳読んだのか!」
あこは「は~い」と返事をしてそのまま歩いて行く
「……美川憲一がオールバックにしたみたいやな」
とアタシがつぶやくと、隣でフハッてあこが笑った
アタシもさっさとその場を行き過ぎると、背後から「岡田先生おはようございま~す」と声がきこえてくる
振り返ると、おろしていても肩につかないだろう長さの髪を二つにわけて結んだ女の子が笑顔でオールバック美川に挨拶していた
さっきアタシ達に見せた顔とは全然違う顔で“岡田先生”と呼ばれた男は「おう、早く教室行けよ」なんて言っている
あこもチラリと見ていたのか、小声で「あの長さなら別に結ばなくていいよね、髪」なんてアタシと同じことを考えている
「あれは校則がどうとかじゃなくて、オシャレでくくってるんやろ」
「うわ、バカにしてる」
「してへんって」
「変だと思ったんでしょ」
「思ってへんって」
「性格悪!」
「思ってへんってゆーてるやん」
教室の前まで押し問答を繰り広げていると、アタシが扉をあけるまえに勢いよく中から人が出てきた
ギクッ!!
二人して一瞬身を引く
ワンレンのあごまでのボブ
黒光りしているかのような真っ黒の髪
一重の涼しい目で「あら、驚かせたかしら」と上品に聞いてきたくせに、アタシ達の返答は待たずに立ち去ってしまった
陶器のような印象を強烈に残していく
「……こけし?」
アタシがぼそっと呟くと、「いや、座敷わらしでしょ」とあこが訂正した
ブラウスのボタンをしめて、ネックレスを隠す
同じようにあこもリングをはずして、カバンの中に入れていた
登校を見守るかのように校門には教師が一人立っている
……昨日の乱闘騒ぎがあったから、かもしれないけれど
アタシ達は遅刻ギリギリ
早足で門をくぐっていこうとすると、アタシよりも背の低い男の先生が難しい顔をしてこちらを見ていた
獲物をみつけたといわんばかりに、歪めた口
不自然なくらいに硬そうな毛をオールバックにかためている
「おい、お前ら何年生だ
肩より長い髪はたばねて結べ!
生徒手帳読んだのか!」
あこは「は~い」と返事をしてそのまま歩いて行く
「……美川憲一がオールバックにしたみたいやな」
とアタシがつぶやくと、隣でフハッてあこが笑った
アタシもさっさとその場を行き過ぎると、背後から「岡田先生おはようございま~す」と声がきこえてくる
振り返ると、おろしていても肩につかないだろう長さの髪を二つにわけて結んだ女の子が笑顔でオールバック美川に挨拶していた
さっきアタシ達に見せた顔とは全然違う顔で“岡田先生”と呼ばれた男は「おう、早く教室行けよ」なんて言っている
あこもチラリと見ていたのか、小声で「あの長さなら別に結ばなくていいよね、髪」なんてアタシと同じことを考えている
「あれは校則がどうとかじゃなくて、オシャレでくくってるんやろ」
「うわ、バカにしてる」
「してへんって」
「変だと思ったんでしょ」
「思ってへんって」
「性格悪!」
「思ってへんってゆーてるやん」
教室の前まで押し問答を繰り広げていると、アタシが扉をあけるまえに勢いよく中から人が出てきた
ギクッ!!
二人して一瞬身を引く
ワンレンのあごまでのボブ
黒光りしているかのような真っ黒の髪
一重の涼しい目で「あら、驚かせたかしら」と上品に聞いてきたくせに、アタシ達の返答は待たずに立ち去ってしまった
陶器のような印象を強烈に残していく
「……こけし?」
アタシがぼそっと呟くと、「いや、座敷わらしでしょ」とあこが訂正した