☆ハイローハート
先代のウルトラとライダーもずっとここのおじいちゃん先生にお世話になっていた


「先生!家に帰ったらカブが、苦しそうにしてて……ッッ」


苦しそうなカブをアタシの手の中からすっと抱き上げ、先生はふっと眉間にしわを寄せて診察室へと入っていく


それから待合室で待つこと1時間

アタシは自分がケータイや財布すら持ってないことに気付いていない


先生にチョイチョイと手招きされて診察室を抜け処置室の中を小窓からのぞくと、よこたわったカブが酸素吸入をしていた

お腹がゆっくり上下していて、容態が落ち着いているのがわかる


「カブ……」


どうしよう、涙でカブが見えないや


「今は軽く麻酔が効いてる状態
呼吸も落ち着いてるからね、とりあえず大丈夫」

先生はアタシをイスにうながした

手で涙を拭う

何か誤飲した、とか??


「胸部のレントゲンをとったんだけど
カブちゃんね、心筋症じゃないかなって思う」

声が出なくて、首を傾げた

病気、なの?

だって、カブはまだ3歳

老猫なんかじゃない


「とにかく今日は様子を見たいから一日預かって、詳しい検査をしてからじゃないとわからないけど
カブちゃん、食欲がなくなったとかなかった?」


……食べる量は、確かに減っていたかも知れない

それに、前にナルに“カブ痩せた?”って聞かれた……

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