☆ハイローハート
背の高いマンションの向こうにみえる、もくもくもくと絵に描いたような入道雲

夏の風物詩

校舎の中から、先生が誰かを怒っている声が聞こえていた

高校生活二度目の夏休み

去年は何考えてたっけ??
今よりはもっと浮かれてた気がする


「今年は理一が焼肉屋のバイトだろ?
とよきは勉強するとかいうし
プールのバイト俺一人でつまんねーな」

「ナルは彼女いるんだから、今年はナンパできなくてちょうどいいんじゃん??」

ナルはニヤけた顔を隠しもせず「ま~ね~、風香ちゃんよりかわいい女の子見つける方が大変だしね~」と頭をかいている

「とよきはあこに予備校通うこと言ったの?」

「こっぱずかしくて言ってねえ」

「なぁーんで、絶対あこ喜ぶって」

終業式が終わって三人で並びながら校門に向かっていると、均一に植えられた木の陰から女の子の二人組みが出てきて呼び止められた


ちっさ

ハムスターみたい

めっちゃ童顔なのに制服の上からでも巨乳だってわかって、おもわずそっちに目が行く


そういや……俺のまわりって巨乳がいない

浮かぶのは元カノとか、元元カノとか、あの三人組


俺たちは自然と足を止めた

「西田先輩、ちょっとだけいいですか??」

「え?俺??
……いーけど」

しかも、なんかもうこの子泣きそうなんですけど

泣きそうに目をうるませて、幼稚園児みたいに髪を結んだ巨乳ちゃん

2メートルほどナル達から距離を置いたところで「あ、あの……」と両手を前で組んでかばんを持つから……

申し訳ないけど、寄せられた胸しか目に入らない


「ゆ、ゆりかって言います」

「……はい」

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