☆ハイローハート
結局みさきを抱きしめられる距離にいるのは俺じゃなくて国坂で

みさきの細い腕が頼るのは俺じゃなくて国坂で


優しく抱きしめて

愛の言葉を囁いて

見つめあって

キスをして


そうすればどうなるかはわかる


俺がみさきを好きで好きで仕方なくても

みさきの心は??


優しくしたって意味ねーじゃん

優しくしたって俺のものにならないじゃん


みさきがカバンから取り出した鍵を、国坂が受け取るのが見えた

彼女の額に唇を押し当てつつ、男は鍵穴に鍵を差し込む

それはドラマのワンシーンのようにスマートで、みさきの指が国坂の二の腕をそっと握っているのが見えた

いざなわれるように二人とも室内に消えて行く


力の抜けた俺の手からドアノブは離れていき、今更ガチャンと鳴った



俺より優しい男なんてゴマンといて

その優しさでみさきを包み込み、俺の前から彼女を隠してしまう






俺は見つからないみさきの姿を探し続けて

あの日うしなったみさきの心を求め続けて


そして、やり直せない過去を後悔し続けるんだ



怒りと失望

俺はそのはざまで、欲望をこらえていた

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