☆ハイローハート
絶対誰か倒れると思う

こんな炎天下で練習試合もあったもんじゃない

俺はキックオフの前に水道の蛇口に頭を近づけて髪を全て濡らし頭を冷やした

むしろ服も全て濡らしてしまいたいくらい

多分、めっちゃ動きにくいだろうけど……

練習試合の相手は他校の生徒で、思いのほかギャラリーが多かった

“お友達なの”と友達をつれて風香ちゃんが来ていて、ナルはデレデレ

サッカー部の連中も、その爽やかな女子二人組みを見て脳内お花畑状態

「紹介しろよ」

「やだよ」

とナルは幸せそうに風香ちゃんに手を振って、「……あ」と声色を変えた

部員も同時にある姿を発見して、さっきよりがぜんテンションをあげる

「近藤さやかじゃん!!」

「なんだよ理一、ヨリ戻したの??」

「戻してないけど?」

俺がそう返答すると、三年がサッカーボールを抱きしめながら「んじゃ、うちの誰かに恋しちゃってんじゃねーのぉ??」とニヤついた


……さやかが来たこともそうだけど、いや、それよりも……

木の下の日陰にゆりかちゃんが友達と一緒に立っているのを見つけて、なんとなく気まずい思いをする

一体どこで練習試合のこと聞きつけてくるんだろ

いや、一年の部員に聞いたらすぐわかるんだろうけど

さやかはベンチぎりぎりのところまでくると、「理一くん」と俺に手を振った


……サッカー部の誰かに恋しちゃってるわけじゃなさそうだ


白のタンクトップにピンクのマキシ丈スカートを履いて、麦藁帽子をかぶっているさやかは部員達のど真ん中を突いたらしい


「近藤さん、ベンチ座ってなよ~
応援に来てくれたら百人力」


と俺らには見せない甘い顔で三年の部長がさやかをベンチに促した

「わ、嬉しい
じゃ、お邪魔しちゃお」

とさやかが居座って、俺とヨリを戻したわけじゃないと知っている部員達は目をキラキラと輝かせた

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