☆ハイローハート
さて、どこ行こう

家にいても退屈だし16時過ぎに家を出てしまった

夏休みも後二週間程度で終わる日、MJに“蜘蛛の糸”を返すべくあこに連絡を取ってもらったら

「明後日なら18時過ぎからずっとフリーだからいつでもどうぞ」と言われて、今に至る

俺が思っている以上にMJはすごい人気占い師で、あこ曰く「アタシ達三人の中で一番忙しい人」らしい

……となると、俺けっこうラッキーなんじゃ

だって、通算二回以上はMJに無料で助言もらってるし


んーーー
さて
どこに行くか


暑くてすぐに動き回る気はなくなって、逃げるようにコーヒーショップに入った

ガラス張りの店内で外が見える位置に座ると、ケータイでゲームでもしようかと思ったけれどふと画面に表示されているカレンダーが目についてひじをつきながらそれを見つめた


夏休みが終わったら、くさの日、俺の誕生日

別に誕生日を祝ってもらいたいとか無くって、女に会う口実くらいにしか思ってない

うん、だから……
それをネタにみさきを誘いたい

大丈夫、煩悩は抑えられるようになってきた気がするし、時間がたてばショックも薄れてすっかり忘れているはず

まあ、みさきに会ったからってみさきが俺の彼女になるわけじゃないけど


行き先はミスドだけでもいい

大荷物持たされる買い物だけでもいい

なんならマンションのエレベーターで遭遇するだけでもいい


なんでもないこと

大したことじゃなかったこと

同じ時間と場所を共有することがこんなに難しくて

こんなに大事なものだったなんて


コーヒーショップに隣接するコインパーキングに車が一台入って行くのが見えてなんとなく目で追うと、その向こう側に大きな紙袋を二つ抱えたさやかが立って、こちらを見ていた


キョトンとしていた表情はすぐ笑顔に変化して、彼女はウレシそうにこちらに向かって走ってきた

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