☆ハイローハート
俺はうなずくと立ち上がったさやかを追うように立ち、彼女の代わりに紙袋を二つ持ち上げた
コーヒーショップの外は高温
一瞬でべたつく湿度
サンシェードの下で紙袋をさやかに手渡した
「送らなくて平気?
ちゃんと持てる?」
「持てるよ
だって、ここまで一人で持ってきたもん」
「そっか」
と笑って見せると、交差した彼女の指が俺の指に触れる
落としてしまわないようにきちんと彼女の手に荷物が渡ったかどうか確認すると、小さな声が聞こえてきた
「……外せないんだ、これ」
リングのことを、言っている
「もうさすがに外した方がいいカナ」
俺の表情を確認しながら控えめに言われた言葉
素直にそう思ったから、言ったんだけど
「……大切にしてくれてて、嬉しいよ」
紙袋の重量が増して、さやかが手を離したことがわかった
そのまま両手が俺の胸にピタリと張り付く
「この間ね、練習試合の時に後輩の女の子がさやかに“新しい彼氏ですか”って言ったでしょ?」
「え?あ……あ、うん」
記憶を手繰り寄せている最中、一歩分さやかの体が近づいてきた
「新しい彼氏なんかじゃないの
一年生の時のクラスメイトに偶然あって、一緒に歩いてた……だけだから」
「……そっか」
両手は俺の体の上をゆっくり動いて、そのまま背中に回って行く
更に一歩分距離が近くなる
「理一くんに誤解されたくないの」
さやかの息が俺のシャツを掠めると、彼女の視線が上がってくる
「まだ、好きだから」
俺は両手に紙袋を下げて身動きもできず、サンシェードの緑を見上げた
コーヒーショップの外は高温
一瞬でべたつく湿度
サンシェードの下で紙袋をさやかに手渡した
「送らなくて平気?
ちゃんと持てる?」
「持てるよ
だって、ここまで一人で持ってきたもん」
「そっか」
と笑って見せると、交差した彼女の指が俺の指に触れる
落としてしまわないようにきちんと彼女の手に荷物が渡ったかどうか確認すると、小さな声が聞こえてきた
「……外せないんだ、これ」
リングのことを、言っている
「もうさすがに外した方がいいカナ」
俺の表情を確認しながら控えめに言われた言葉
素直にそう思ったから、言ったんだけど
「……大切にしてくれてて、嬉しいよ」
紙袋の重量が増して、さやかが手を離したことがわかった
そのまま両手が俺の胸にピタリと張り付く
「この間ね、練習試合の時に後輩の女の子がさやかに“新しい彼氏ですか”って言ったでしょ?」
「え?あ……あ、うん」
記憶を手繰り寄せている最中、一歩分さやかの体が近づいてきた
「新しい彼氏なんかじゃないの
一年生の時のクラスメイトに偶然あって、一緒に歩いてた……だけだから」
「……そっか」
両手は俺の体の上をゆっくり動いて、そのまま背中に回って行く
更に一歩分距離が近くなる
「理一くんに誤解されたくないの」
さやかの息が俺のシャツを掠めると、彼女の視線が上がってくる
「まだ、好きだから」
俺は両手に紙袋を下げて身動きもできず、サンシェードの緑を見上げた