☆ハイローハート
鍵をあける音がしてドアが開くと、まずMJが顔を出した

「こんにちは」

と俺が頭を下げると、なぜか「ご苦労さま」と応じられた

……配達しにきたみたいだ

「暑いでしょ?冷たいお茶を飲んで帰って」

とドアを更に開き、俺を招き入れると、前回来た時とは違う部屋にいざなわれた

占いスペースの方じゃなくて、生活スペースの方

リビングの高級そうなソファーに俺を座らせると、MJは去って行く


階段を降りてくる音がしてそっちを見ると「るん♪」と今日はパステルブルーのワンピースを着たMJのお母さんと目が合った


「いらっしゃい
あなた本当に寿里と仲イイのね」


なぜか俺の向かいのソファーに座ると笑顔で見つめられて、戸惑いつつ笑顔を返す

今日も若妻みたい

「若いっすね、いつ来ても」

「ありがと~」

……なんでそんなに笑顔なんだろ

……なんで俺の前に座るの??


「仲いいんじゃないわよ、あこが私にこの人の介護を押し付けるの」

MJがいつのまにか俺のそばに来ていて、テーブルに氷の入ったお茶を置いた

涼しげに氷がグラスにぶつかる音


「介護とか言わないの、女がほっとけなくなるタイプなのねきっと」

「女のヒモになるタイプなんてだいっきらい」

「寿里」

お母さんはMJに少し怒った目をしている

俺とお母さんの間にMJは座ると、俺に手を差し出した


「あ……、本、ありがとうございました」

「煩悩に打ち勝ってる?」

「はい」

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