☆ハイローハート
「モロに優しくしてる??」

「あんまり会うことないですけど、まあ一応」


お母さんがくすくす笑い出して「なんで敬語なの、おっかしい」なんて呟いている


「元カノに、優しくしてないわよね?」

「……がんばってます」


と答えると、若妻は「うっそだァ」と更にくすくす笑った

……今、なんて

俺がキョトンとしていると、お母さんはMJに「前よりひどくなってるもん」と言いながらこっちを指差してくる


「まさか、モロじゃないでしょ??」

「全然違う、色が全然違うの
こっちは女の執念の塊って感じ」

MJは自問自答するように小さく「……とる?」と考え込んでいる


「やめたほうが良さそうよ?
今はこれで小康状態なんだから、無理にとると焦ってなりふり構わずかかってくると思う」

「う~~ん」


この親子の会話、全く読めない上になんか怖い


……お母さんは確か、霊媒のほうでお金とってたって言ってたし


「そういえば、あなたは今日は来ないと思ってたわ」

MJが突然俺に普通に話しかけるから、「え?なんで?」と思わずタメ口になってしまった

「だって今日モロ、あなたの弟さんの家庭教師だって言ってたし」

「うそっっっ!!!!」

俺の立ち上がるスピードは、自分でもびっくりするくらい速かった

「だからきっと、こっちには来ないと思ったの」

MJはちょっとバカにしたような目で笑っているけれど、そんなことお構いなしに氷の溶けたお茶を飲み干して「ごちそうさまでした!」と大声を出した


お母さんに一声かけようとして顔を向けたけれど、俺を見る真剣な目に一瞬で喉が詰まってしまった

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