☆ハイローハート
「そっか……メンタルだわ」

とポンと手を叩いたお母さん

……ワールドだなァ
MJといい、お母さんといい、言葉にあらわせないワールドがある

「最近、元カノと何かあったわよね?
それで少し疲れていたでしょ?
だからだわ
だから以前よりひどくなったように見えたの」

一気に話されると、頭がついていきません

「モロちゃんに意識がいったとたん、和らいだ」

「あの、一体」

「けっこうメンタル弱いのね
つけこまれやすくなってしまう」

だめだ、俺、間山家の人々とうまく会話する自信がない


「お母さん、この人が安定すればもしかしたら自然に消えたりする可能性ある??」

「あると思う」

「そう、じゃあ……」


MJは玄関へつづく扉をあけて俺に合図した

俺の後ろを歩いてくる体の小ささは、うん、小さいんだけど、威圧感だけはプロレスラー級

背中から潰されそう


「今日は家庭教師が終わると、あなたのお母さまにお料理を教えてもらうって言ってたわよ?
間に合えば、モロの手料理が食べられるかも」

「マジで???」


靴に足をつっこみながら、素直にテンションがあがってMJに振り返った

リビングルームからこちらをのぞき見ていたお母さんが「寿里、バッチグー」なんて親指を立てている


……バッチグー


「あなた、本当に単細胞ね」

ふへ??なんで俺このタイミングでけなされてんの?

「すいません」って謝ってしまう俺もどうかと思うけど

「……ああ、そういえばモロが久しぶりにあなたに会えるって楽しみにしていたわ」

「今すぐ帰るぜっ、みさきィ」

と玄関をあけておいとまの挨拶をしようとすると、MJとお母さんが声を出さずに爆笑していた


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