☆ハイローハート
……なんだったんだ

解せない気持ちのまま帰宅する

18時からスイミングがあるらしくて、一回家に帰ると行くのがダルくなるからととよきも一緒で、玄関に入ると同時にみさきの靴を見つけた


「龍一のカテキョかな」

足音を忍ばせて龍一の部屋の手前まで行くと中からみさきの声が聞こえてくる

――「え~~、不純な動機やな~」

「でもめっちゃやる気出すから!」

「それでやる気出されてもな……
いつもやる気出せよって話やん??」

「ちょっと舐めさせてくれるだけでいいから」

「舐めるだけじゃ終わらんやろ!」


……はぁ~~~~???


「お願いみさき、
一生のお願い!!」

「うーん……じゃあ、この範囲の単語全部覚えて、スペルも間違わなかったら……いいよ」


良くない良くない
良くないよーーー


こらーっと怒ってやろうと思ったのに、“バーーーン”と部屋のドアをあけて出た一言目は


「俺も舐めたいッッ!!!」


……叱責とは程遠かった


「ええ~~理一も~~???」

みさきが驚いた顔をして、龍一は「また出やがった」と小さくぼやいている


「図々しい兄弟やなーッッ
じゃあ、理一も教科書出して、単語覚えたら舐めさしてあげる」


クーラーの効いた龍一の部屋で俺は着替えもせずにドカッと座り教科書を開いた

呆れたとよきは龍一のベッドサイドに座ってあくびをしている

単語覚えたら……みさきは一体どこを舐めさせてくれるんだろう


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