☆ハイローハート
「じゃ、次理一ね……」

よつんばいで横にくると、俺の手から教科書を抜き取ってどれを問題にするか選んでいる

英語は別に苦手じゃない
得意じゃないけど

うしろでとよきは、龍一の教科書を見ながら右手でペンをくるくるまわしていた


「理一も公平に35問出すからね」

「そんなにー??」

机はないから、ノートを反対方向におりまげて立てたひざにのせた


「第1問、振動する」

俺はノートに“vibrate”と書いた

第1問目がそれって、……いやらし
そんなエロい思考回路になってるのは俺だけだということにはもちろん気付いていない

スペルチェックするために俺のノートをのぞきこんだみさきの首元に、昔と変わらないクロスのネックレスがぶらさがっていた

「それ、ティファニーだろ」

「うん、良く知ってるね」

「まーね」

「女にティファニープレゼントでもした??」

なんっでそうなる??

「お前こそ、そのティファニー誰かのプレゼント??」

「ふふっ、昔からつけてるのに何いまさら」

答えになってない


順に正解していって、全問正解が近くなった30問目で聞いた


「で、全問正解したらどこ舐めさせてくれんの??」

「……どこ??」

みさきが怪訝な顔をする

あれ?何その感じ
今更さっきの約束は反故とか絶対なしだから


「プレミアムアイスクリームは、どこ舐めても同じ味やけど??」


あ、あ、アイスクリームだあ??

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