☆ハイローハート
あの二人の姿は見えないけれど、結局この船に乗ったんだろうか??

一回一回運ばれてくる料理はすっごい少量なのに、ものすごい間隔を置いて運ばれてくるから……けっこうおなかいっぱいになるもんだな……なんて思っていると、最後に運ばれたデザートとは別に小さなホールケーキ

そこには「Happy Birthday」と書かれてあって、みさきがウレシそうに拍手した


「ゆってみるもんやな、バースデーケーキサービスやって♪
理一つれてきて良かったやん」


……俺の誕生日だって言ったことなんてすっかり忘れられてると思ってたのに

あこは「もうおなかいっぱいですけど……」と呟いている

「え??もしかしてみんな、おなかいっぱいでケーキもう食べられへんとか言う?」

「ちょっと、お手洗いついでに外の景色でも見て小腹すかせて帰ってくるね」

とあこが立ち上がった

少し後にみさきが「とよきも一緒に行けば?」と言ったから、とよきもあとを追いやすかったと思う

おもむろに俺とみさきの間にケーキをひきよせてくると、「理一は食べないん?」と目をキラキラさせている

「俺、さっきのデザートと一緒にフォークも下げられた」

と言うと、みさきが自分のフォークを差し出してくる


「みさきがあーんってして」

「せーへん」

「……俺、誕生日なのに」


みさきはぴくっと眉をうごかすと、ケーキをフォークですくって俺の口に運んでくれる

自分で言ったくせに、照れる俺

……これ、妙に恥ずかしい

「おいしい??」と聞かれて、照れるくせに「もう一回」と言ってしまった

みさきが“あーん”してくれるなら、全部食べれるかも


誕生日って言えば、みさきは俺に優しくしてくれるんだ

イスごと彼女に近づくと、みさきの手からフォークを取る

フォークに乗り切らないくらいの量を取ると、みさきが笑った

「そんな大きいの口に入らへんから~~」

「ダイジョブダイジョブ」

「ダイジョブじゃないっ」

みさきは頑なに口を閉じた

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