☆ハイローハート
ほら、すぐ拒絶する

そんな姿に俺が興奮するって、わかってねー

閉じた口にケーキをおしつけると口の周りに生クリームがついて、口を閉じたままみさきが顔を引いて笑っている

「ん~~っっ」って軽く首をふる彼女に更に押し付けると、鼻にまで生クリームがついた

笑いをこらえきれなくなって口をあけたからやっとケーキは食べてもらえたけど、ほとんどの生クリームは口のまわりについてて、みさきは指先であっという間にそれを拭ってしまった


「あーーーっっ」と俺は悲痛な声を出す

「何よ」

「口の周りの生クリーム、俺が舐めようと思ったのに」


というと、左手でぺちっとおでこを叩かれた

この間のカテキョの時、全問正解でみさきの唇を飽きるまで舐めようと思ってた反動

「俺についた生クリームも舐めていいから」と交換条件を出しても

「んなもん、アタシの得にならへんわ」と即座に却下されてしまった

それは確かにそうなんだけど……


二人でふざけあいながら、結局二人でケーキを完食……

散歩して、小腹をすかせて帰って来たとしても、あこととよきの分はもうない

……ま、でも……帰ってこなくてもいいけど


と空いた二人のイスを見た


「あこ……めっちゃすごい迫力やったな」

「髪の毛、真っ黒に戻ってたしね」

「今日の用事って美容院やったんや」

「アイツ、男と何かあると短く切りはしねーけど大胆に色変えるのな」

「ほんま」


まばたきしているみさきの横顔は空気のように透き通っていて、手をのばしてもつかめないように見えた

こうゆう顔を、何度か見たことがあるかもしれない

彼女がふと感情を隠す瞬間

悲しみや怒りはそこにないんだと俺は勘違いをするんだ

< 511 / 756 >

この作品をシェア

pagetop