☆ハイローハート
ピポピポピポーン

ピーンポーン

ピポピンポーン


アタシの生活の中ではあまり聞かない音が鳴り響いて、一瞬うごきを止めた

……ん?
新聞の勧誘??

居留守を使うかどうか決めあぐねて、足音をたてずに玄関に向かうと覗き穴から外をうかがった


鍵をあけて、ガチャリとドアを開くと、紙袋を持った私服の理一が立っている


「どーしたん?」

「帰ってきたとこ?」

「うん、ちょっと前に」

「これ、やる」


紙袋を突き出される

「何?」

中身を取り出すと、冬服のスカート……

「俺の兄ちゃんの彼女がさ、みさきの高校の卒業生なんだよ
で、兄ちゃんに言ってもらってきてもらった
サイズ合うかわかんねーけど」

「……」

あんまり、人に親切にされたことがなくて、そこで反応が止まってしまった

妙な沈黙が流れて、テレビの音が外に漏れてくる


「兄ちゃんの彼女も細いから、多分大丈夫だと思う」

「うん、一回はいてみる」

「……」


――ジ・アルティメットファイター、今日の対戦カードは……


やっぱりおとずれた沈黙をテレビの音声が破いていく


「何見てんの?テレビ」

「えっと~、WOWOW……なんか格闘技やってたな」

「え?格闘技?」

「え、うん……」

理一の顔がいきなりキラキラし始める



< 54 / 756 >

この作品をシェア

pagetop