☆ハイローハート
抵抗はするんだけど、色々と思い出す

色々なこと

いっつも理一は不意打ちで、強引で、一瞬でスイッチ入って……

羊の皮を被った狼……って前も思って……

「こ、こら!手!!」

首を振って理一の唇から逃れると、胸に重なる手を払いのけた

す、すぐこーなるねんから……っっ


直後にメール着信音

「あ、あこ達今から出るって、アタシ達もいこ」

髪は生乾きって感じだけど、外に出れば自然乾燥間違いない


スニーカーを履いて、鏡の前で髪を整えている理一

サンダルを足首で留めていると「こっちにも絵掛けてある」と理一がいうから、カバンを持って立ち上がった

浴室を出た目の前辺り、鏡台の横

絵をかけるにしてはちょっと不自然な位置に見えなくもない


理一がそれを何気なくひっくり返すから、アタシも後ろから覗き込んだ


「わっ!」

と理一が突然手を離して、絵は裏返ったまま壁にぶつかって……

アタシは、目が点……

白い短冊に真っ黒の墨で何やら呪文が縦につらつらと書かれている


理一はアタシの手をパッと握ると「忘れ物ない??」とベッドの方を見渡して、固まっているアタシを引っ張って部屋を出た



エレベーターに乗り込むと、数秒の沈黙のあと理一が吹きだした

笑い事じゃないよ……

「アタシ、あんな部屋で寝たなんて……」

「俺ら霊感なさすぎだろ」

「確かに、何も出なかった」

「ハハッ、だろ?
やっぱ、みさきといると楽しいハプニングがあってすげー楽しい」

理一のピンクのシャツから以前のような香水の香りはしない、そんな事に今更気がついた



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