☆ハイローハート
出窓になっているところに半分だけおしりを乗っけて問題集をパラパラとめくっていく

ところどころ線が引いてあって国坂くんの字で訳が書かれている

……真面目


ページを進めて行くと、「?」マークが書かれてあるところがあった


「ハテナマークが書いてあるやつ??」

「そう、自動車工場についての説明文みたいな」

着替えた国坂くんが机の上をざっと片付けてイスに座ったから、立ち上がって彼の横に立った


「どこ?」

「ここ、辞書を見てもこの単語にこんな訳載ってないし、そもそもなんで過去完了なのかもわからない」

「これは……ちょっと遠いけどこっちと組み合わせて熟語になってるから……」

近くに転がっていたペンをとって、英文に下線を引いた


アタシがいるから、国坂くんは集中的に英語を訳すことに専念している

頭いいからアタシが教えてあげられることなんてほとんどない
アタシはまた出窓に腰をかけて、国坂塾に入って行く子供たちの姿を眺めていた

「みさきちゃんがいると英語がはかどるよ
いい家庭教師」

……家庭教師

「そういえば同じマンションの中学生にも英語教えてあげてるんだったよな」

「そう、中学生やから余裕」

「でも、もし俺がその中学生なら英語どころじゃないだろうけど」

「なんで?」

「横にキレイなお姉さんがずっと一緒にいるんだから」

「キレイなお姉さんってアタシ??」

国坂くんは少しだけ問題集から目を離して「そう」とアタシを見た


「思ってない思ってない、関西弁のうるさい姉ちゃんくらいにしか思ってないね、あの子は」

「照れてるんだって」


龍一のことを思い出すけれど、……アタシのパンツを見るとか見るなとか……理一とヤイヤイうるさかったことしか出てこない

……照れてるのとは違うな、と眉を寄せた

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