☆ハイローハート
国坂くんは飲み物を取りに行ってくると部屋を一度出て行った


グレープフルーツジュースを持ってきてチェストボードに置いてくれたから、ベッドに座って

「夏場だし、ビタミンC摂らないとね」

といただきますする


問題集を持って同じようにベッドに座った国坂くんは「彼女兼家庭教師っていいかも」と微笑んだ

「そう??英語しかできひんけどね」

「勉強ははかどるし、息抜きしようと思ったら今度は彼女にはや代わり」

「わ、おあつらえ向き!」

「おあつらえ……??」

ジュースを置いたら国坂くんがアタシの手を引くから、ポスンと彼の腕の中におさまる

言葉がツボにはまったみたいで、国坂くんが「たまに昭和のおばあちゃんみたいな単語使うよね」と笑っている声が頭上から聞こえてきた

「でも……俺の部屋につれてきたのは失敗」

「なんで??」

「おあつらえ向きに、ベッドがあるから」

パッと見上げると、既にめがねをはずしていた国坂くんが優しく微笑んでいて……重なっていく唇にゆっくりと目を閉じた


時間は18時なんだけど、外はまだ明るい

カーテンは全開


長い長いキスをして、息が上がって……酸素の薄さに脳が痺れた頃

国坂くんは薄いカーテンを閉めに行く

それでも室内は明るすぎるくらい


アタシを囲うように背後に座って、ぎゅうっと抱きしめられた

耳元でいつもより早い息遣いが聞こえてる

抱きしめる腕がゆるまって制服のシャツのボタンを一つあけると、髪をよけた首筋に何度も口付けられる


いつも優しくて優しくて、アタシの感情を読み取りながら、誘ってくれるの


ボタンがいつの間にか全て外されていることに気付かないくらいスマートで、肩からシャツがずれていく


そのまま指先が肩から首を伝って背中に降りていく途中、一瞬国坂くんが止まってしまった

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