☆ハイローハート
「クルージングディナーで、お友達は仲直りできた??」

「え?うん……」


国坂くんは背後から立ち上がると、アタシの手を取った

そのまま引かれてベッドから降りると、タンスのドアについている全身鏡に背を向けて立たされる


「誰だっけ……同じマンションの」

「え?」

「クルージングに行った同じマンションの男の子」

「理一?」


なんで???

アタシの心臓がドキドキと違う緊張で張り詰め出す

国坂くんはアタシの髪を撫でて、それをまとめると持ち上げた


「見える?後ろの鏡……青いバラ」


そう言われて振り返ると、鏡越しに国坂くんと目があった

鏡越しの彼の目はガラスのようで、全身が凍りそう


「その男が行くなら、行かせなきゃ良かった」

体の中央に位置する青いバラは、振り返っても6、7割ほどしか見えない


だけど、見えている部分だけでも二つ以上

思わず自分の口から「え……?」と声がもれた


「その男だろ……これつけたの」


反射的に国坂くんの腕を払うと髪が青いバラを隠す

肩からずれたままのシャツを元に戻して、前をかき合わせると「みさきちゃんに怒ってないよ」とさっきと変わらない穏やかな口調で手を取られた


だけど、くすぶる火が見える


「だけどあいつは大嫌いだ」


と唇と唇が触れる距離で国坂くんは呟いた

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