☆ハイローハート
……確かに

割れたのは一人で家にいた時だし

次の日がゴミの日だったからさっさとゴミで出した


「母親かな?
マグカップがないから、気を利かせて買ってくれた……とか」

「わざわざ送る?差出人の名前も書かずに」

「めんどくさがりややしさ」

「……ならいいけど、あ、そういえばさ、あの隣の人ってずっと隣の人??」

「さあ?あんまり隣人さんの顔知らんけど、なんで??」

「どっかで見た気がするんだけど……
勘違いかな?」

「なんかどこにでもいそうなサラリーマンっぽかったけど??」

「じゃあ、きっと勘違いだな」


国坂くんは小包を少し遠ざけると、アタシを抱きしめた


「次会える日を楽しみに勉強がんばるよ」

「うん」

「また連絡するし」

「アタシも」


狭い玄関でしたキスに体のバランスをくずして横の壁に手をつくと、ちょうど電気のスイッチの場所

カチッとオレンジ色の照明が消えて真っ暗になると、もう一度手だけでスイッチの位置を探ったけれど国坂くんに手を握られた

暗さに目が慣れてなくて、お互いの距離と顔が見えない


けれど的確に唇同士が触れ合い、「寂しくなったら連絡して、必ず来るから」と囁かれて、うなずいた

国坂くんの手がアタシの頭に乗って、キスが終わる


少しだけ見える彼の顔

至近距離のまま


「お利口にしてて」


とまるで子供をしつけるように言い聞かされて、アタシは「……はい」と小さく返事をした

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