☆ハイローハート
MJは髪を片方だけ耳の上でピンで留めている

「MJ、その髪型めっちゃかわいいよな」

「そう?」


アタシはボートネックのボーダーニットに、紺のショートパンツとサンダル

アウトドアだし、麦わらのストローハットをかぶってきた

MJはドット模様のワンピに日傘

あこは、白のTシャツにローライズなデニムでへそピがチラチラ見えている


「とよきに聞いたら、大西ルカも理一と同じクラスらしいんだけど、まさか来てたりしないよね?」

あこがイヤそうな顔をして呟いている

「珍しいな、あこがそんなに一人の女に嫌悪感をむき出しにするなんて」

とアタシが言うと、MJは困ったように鼻で笑った

「大敗を期したのよね、あこは大西ルカに」

「別に大したことじゃないやん、彼氏が東大に通ってるくらい」


理一のサッカー県予選が行われる球技場に向かう電車を待つホームで、あこが思い出したように地団太を踏み出した


「“頭のいい男が好きだからわたしと趣味が合いそう”って言っておいて
“わたしの彼氏は東大だから、格が違うけど”って暗にアピールしてるんだよ!!」

「被害妄想でしょ~」と何度も何度も聞いたこの話にMJは呆れている


確かに、あこがこうゆう風になるのは珍しい

だから、つまり、後を引くわけで……思い出すたびに悔しさが甦ってくるらしい


「とよきより頭が良くて、彼氏が東大で、ナルの可愛い子リストに入ってて……なんなの一体」


まさかあこがあの日、大西ルカに負けて帰ってくるなんて

いや、決して負けてはないけど、敗北感を感じさせられてるなんて



面白すぎる


電車が到着してドアが開くと、スキニーデニムにピンクの派手なTシャツを着て、おっきなサングラスをかけたちひろがウレシそうに手を振っていた


< 584 / 756 >

この作品をシェア

pagetop