☆ハイローハート
「みさきが行くなら、仕方ねーから俺も付き合ってやるよ」

ナルがそう言っているけど、ヤツは絶対ちょっと嬉しいはず

理一がとよきに向き直って「ほら、あこのお許しが出た!」と興奮気味に訴えている

とよきは、こうゆうのが苦手なタイプだから……渋ってるんだろうけど、諦めたように「ヘイヘイ」と返事していた


「よし、後はみさきだな……
で?今日みさきは??」


……理一がすっとぼけた質問をするから、イラッとして「デートだよデート」と言ってやった


「マジで??彼氏できたの??」

「彼氏じゃないけど、彼氏になるかも」


理一のみならず、ナルまでもがギョッとこちらを見た


ええい、めんどーくさい!!

モロに彼氏がいるいないじゃなくて、アタシに彼氏がいるんだからそもそもアタシのゴールデンウィークの予定を勝手に決めるんじゃない!!

実際ゴールデンウィークは彼氏のライブをモロと見に行く予定を入れてるし……



もう今まで何度も見てきているからさほど期待しているわけじゃないけれど、この間ライブハウスで偶然みかけたロシアンブルーの歌声はもう一度聴きたかった


音響が整って、バンドが入り、マイクを通した彼の声はどう届くんだろう

それは期待はずれかもしれないし、期待以上かもしれない


……でも、ほんの一瞬きいただけなのに人をひきつける声っていうのは、それだけでもう才能なんだ

そして、才能ある人が努力すると……才能のない人の努力より、はるかにすばらしい実を成す

それは少し切ないけれど、現実の厳しさ、カナ





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